ルーツ

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連載 
株式会社布引製作所のルーツ

板厚よりも孔径の小さいマイナス孔製品への挑戦

本社工場新社屋の完成に合わせて導入したNC二軸同時制御特殊プレス機は、当時の製作に必要だった技術のさらに上をいく高度なプレスが可能な機械として設計されていました。このプレス機がその能力を最大限に発揮したのが、布引製作所が『マイナス孔』と呼んでいる打抜スクリーン(パンチングメタル)の製作です。

マイナス孔とは、加工材料の板の厚さよりも孔の径の方が小さい特殊スクリーンです。実際にはマイナス孔の特殊スクリーンを必要とされるお客様はかなり少ないため、このプレス機が真の実力を発揮することはほとんどありませんでした。しかし、平成9年頃、主要取引先様よりマイナス孔の製作依頼が入ったのです。
マイナス孔製品写真

マイナス孔製品写真

プレス機そのものはマイナス孔等の特殊スクリーン製作も可能な能力を備えていましたが、金型やその二次加工も含めた完成品の製作となると、それはやはり技術力を賭けた限界への挑戦になりました。

なんといっても一般的には孔径に対して80〜100%の板厚が限界とされているのです。この孔径より、逆に板厚の厚いものに挑戦し、かつその挑戦を続けた結果、現在では最大166%(2.0㎜の板厚に1.2㎜の孔径)、対応孔径はφ0.63〜φ2.0までのものが対応可能となったのです。